同じファイルが複数あり、最新版が分からない
見積書、顧客資料、社内手順書など、同じ内容のファイルが複数の場所に保存されていることがあります。
ファイル名や保存日時だけでは、どれが現在使用する正式なファイルなのか判断できない場合があります。
担当者ごとに別のファイルを修正してしまうと、それぞれの変更内容が分かれてしまい、確認や作り直しが増えていきます。
正として使うファイル、作業中のファイル、確認用のファイル、過去版を分け、誰がどこを更新するのかを決めておくことが大切です。
困りごとが起きる背景
業務で使用するファイルは、メールへの添付、社内共有、内容確認、顧客への提出などのために複製されることがあります。
一時的な確認用として作成したコピーでも、元のファイルと区別されていなければ、そのまま編集や再利用が始まってしまうことがあります。
また、ファイルを受け取った人が自分のパソコンへ保存し、そのファイルを修正して別の人へ送ると、複数の更新版が同時に存在する状態になってしまいます。
ファイル名に「最新版」「最終」「修正版」などを付けても、さらに修正が行われれば、どれが現在の正式版なのか分からなくなってしまいます。
保存日時が新しいファイルであっても、必要な修正がすべて反映されているとは限りません。
最新版を判断するには、日時だけでなく、使用目的、更新内容、確認状況、承認状況まで確認していく必要があります。
よくあるつまずき
ファイルの重複管理では、次のようなことが起こります。
- 同じ名前のファイルが複数のフォルダーにある
- ファイル名に「最新版」や「最終」が複数付いている
- 担当者ごとに別のファイルを修正している
- メールに添付されたファイルをそのまま更新している
- 顧客へ提出したファイルと社内の保存版が一致していない
- どの修正が、どのファイルへ反映されたか分からない
- 作業途中のファイルと承認済みのファイルが混ざっている
- 古い資料を新しい案件で再利用している
- 内容を確認した人や承認した人が記録されていない
- ファイルを統合した後も、古いコピーが残っている
- 担当者が不在になると、正式版を判断できない
- 同じ内容を複数のファイルへ転記している
重複したファイルを削除するだけでは、同じ状態がまた起こってしまいます。
どのファイルを正として使い、誰がどのように更新するのかまで決めておく必要があります。
整備の進め方
まず、同じ内容を持つファイルが、現在どこに保存されているかを確認します。
そのうえで、内容、利用状況、更新履歴、承認状況を確認し、正として使うファイルと、それ以外のファイルを分けていきます。
対象となるファイルを確認する
重複が起きやすいファイルを、業務や資料の種類ごとに確認します。
例えば、次のようなファイルです。
- 見積書や提案書
- 契約書や申込書
- 顧客別の管理資料
- 商品やサービスの案内
- 社内手順書やマニュアル
- 申請書や報告書
- 価格表や管理表
- 会議資料
- 定型文やひな型
- 外部へ提出する資料
最初から会社内のすべてのファイルを調べようとせず、更新頻度が高いもの、複数人が使うもの、誤った版を使った場合の影響が大きいものから確認していきます。
重複している場所を確認する
同じ内容のファイルが保存されている場所を確認します。
主な対象は次のとおりです。
- 各担当者のパソコン
- 社内の共有フォルダー
- サーバーやNAS
- クラウドストレージ
- メールの添付ファイル
- チャットで送受信したファイル
- 外部の関係者と共有している場所
- 過去のパソコンや保存機器
保存場所だけでなく、誰が使用しているか、現在も更新されているか、どの業務で使われているかもあわせて記録します。
ファイルの内容を比較する
ファイル名や保存日時だけで判断せず、内容の違いを確認します。
主に次の内容を比較します。
- 記載されている情報
- 追加または削除された項目
- 数字や日付
- 修正された文章
- 使用している書式
- コメントや修正履歴
- 確認済みかどうか
- 顧客や外部へ提出済みかどうか
一方のファイルだけに必要な修正がある場合は、その内容を確認したうえで、正として使うファイルへ反映するかを判断します。
内容が異なるからといって、機械的に新しい方を残すのではなく、どの変更が正式に採用されたのかを確認していきます。
正として使うファイルを決める
同じ目的のファイルについて、会社として正にするファイルを決めます。
正として使うファイルには、次の内容をはっきりさせておきます。
- 正式な保存場所
- ファイルの用途
- 管理する人
- 更新できる人
- 内容を確認する人
- 承認が必要な条件
- 現在の版
- 最終更新日
- 次回の見直し時期
複数人で使用する資料は、各自が保管したコピーを更新するのではなく、決められた保存場所のファイルを確認する運用にしていきます。
具体的な共有方法や同時編集の可否は、使用しているサービスと現在の構成を確認したうえで確定します。
ファイルの状態を分ける
ファイルを、現在の状態に応じて分けます。
作業中
内容を作成または修正している途中のファイルです。
誰が作業しているのか、いつまでに確認へ回すのかを記録します。
確認中
内容の確認や承認を待っているファイルです。
確認する人、確認項目、修正が必要な場合の戻し先を決めます。
正式版
確認や承認が完了し、現在の業務で正として使用するファイルです。
利用者が正式版を判断できるように、保存場所と状態をはっきりさせておきます。
過去版
以前は正式版だったものの、現在は使用しないファイルです。
日常的に使用する場所から分け、必要な場合に経緯を確認できる状態で保管します。
確認用・受け渡し用
社内外で内容を確認するために複製したファイルです。
正として使うファイルではないことと、確認後の扱いをはっきりさせておきます。
更新する人と流れを決める
正として使うファイルについて、更新の流れを決めます。
例えば、次の順番です。
- 修正内容を受け付ける
- 修正する人を決める
- 正として使うファイルを確認する
- 作業用として修正する
- 内容を確認する
- 必要な承認を受ける
- 正式版へ反映する
- 変更内容を記録する
- 過去版を分けて保管する
- 利用者へ変更を案内する
複数の担当者が同じ資料を個別に修正するのではなく、変更内容を一つの流れへ集めていきます。
ファイル名と版の付け方を決める
ファイル名は、利用者が用途と状態を判断できるようにします。
必要に応じて、次の項目を組み合わせます。
- 資料名
- 対象となる顧客や業務
- 対象期間
- 版番号
- 更新日
- 作業中や確認中などの状態
ただし、ファイル名だけで正式版を管理しようとすると、同じ名称のコピーが増えてしまう場合があります。
ファイル名の決まりとあわせて、正式な保存場所と更新方法を固定しておきます。
コピーの扱いを決める
メール添付や内容確認のためにコピーを作成する場合は、元のファイルとの関係をはっきりさせておきます。
コピーへ修正が入った場合は、正として使うファイルへ反映する内容を確認します。
反映後もコピーを残す必要がある場合は、確認用、提出済み、過去版などの用途を記録しておきます。
不要と判断したコピーを削除する場合は、業務上の必要性、保存期間、提出記録などを確認してから進めます。
変更内容を記録する
正式版を更新した場合は、変更内容を記録します。
主に次の内容を残しておきます。
- 対象となるファイル
- 変更した内容
- 変更した理由
- 修正した人
- 確認した人
- 承認した人
- 更新日
- 変更前と変更後の版
- 利用開始日
- 過去版の保存場所
- 未確認事項
細かな文章修正をすべて記録する必要はありません。
金額、条件、手順、責任範囲など、業務上の判断に影響する変更を後から確認できるようにしておきます。
整備後に目指す状態
正として使うファイルと保存場所が決まっていれば、どの資料を確認すればよいか判断しやすくなります。
作業中、確認中、正式版、過去版が分かれていれば、未確認のファイルを正式な資料として使ってしまうことを減らせます。
担当者が変わった場合でも、正式版、更新した理由、過去の変更内容を記録から確認できます。
また、修正内容を一つのファイルへ集められるため、担当者ごとに別の変更が進んでしまう状態も見直しやすくなります。
大切なのは、保存日時だけで最新版を判断するのではなく、会社として正として使うファイルを確認できる状態にしておくことです。
その場限りで終わらせないために
ファイルの重複は、一度整理しても、メール送信、社内確認、担当者変更などによってまた発生してしまいます。
新しいコピーが作成されたときに、どのファイルへ修正を戻すのか、確認後のコピーをどう扱うのかを決めておきます。
最新版を判断できなかった事例や、古い資料を使ってしまった事例があれば、どの段階でファイルが分かれたのかを確認します。
その結果を、保存場所、更新手順、確認方法、変更記録へ反映していきます。
アーテック福岡では、重複したファイルを整理するだけでなく、正として使うファイル、更新する人、確認と承認の流れ、版の管理、変更履歴までを会社のIT環境整備として整えていきます。