クラウドサービスの運用ルールが決まっていない
クラウドサービスを導入しても、保存場所、共有方法、管理者、利用できる範囲が決まっていなければ、使い方が利用者ごとに分かれていきます。
同じデータが複数の場所へ保存される。
共有相手や公開範囲が分からない。
担当者が変わると、設定や管理方法を確認できない。
このような状態では、必要な情報を探す時間が増え、誤った共有や設定変更にも気付きにくくなります。
アーテック福岡では、利用しているクラウドサービス、利用者、管理者、保存場所、共有方法を確認します。
日常的に行ってよい操作と、承認や確認が必要な操作を分け、変更内容を記録しながら使い続けられる状態へ整えます。
よくあるつまずき
- 同じ種類のデータが複数の場所に保存されている
- フォルダ名や保存場所が担当者ごとに異なる
- 社内共有と社外共有の方法が決まっていない
- 誰がサービスを管理しているのか分からない
- 利用者や権限の一覧を確認できない
- 退職者や異動前の共有設定が残っている
- 個人のアカウントで会社のデータを管理している
- 設定変更の承認者が決まっていない
- 削除、移動、共有解除などの判断基準がない
- 変更した設定や理由が記録されていない
整備の進め方
1.利用しているサービスと目的を確認する
会社で利用しているクラウドサービスを確認します。
主な確認項目は次のとおりです。
- サービス名
- 利用目的
- 利用者
- 管理者
- 契約を管理する人
- 保存しているデータ
- 連携しているソフトやサービス
- 社外との共有状況
- 現在困っていること
契約されていることだけでなく、実際に誰が何のために使っているのかを整理します。
2.管理者と責任範囲を整理する
クラウドサービスごとに、次の役割を確認します。
- 契約内容を確認する人
- 利用者を追加・停止する人
- 権限を変更する人
- 保存場所や共有方法を決める人
- 設定変更を承認する人
- 問題発生時に確認する人
一人ですべてを管理する必要はありません。
ただし、誰が何を判断し、誰が実際に設定するのかを分けておかなければ、変更や退職時の対応が止まりやすくなります。
3.保存場所と整理方法を決める
業務で使用するデータについて、どこへ保存するのかを整理します。
主な確認項目は次のとおりです。
- 保存するサービス
- フォルダや保存場所
- ファイル名の付け方
- 担当者だけが使用するデータ
- 部門や会社全体で共有するデータ
- 社外と共有するデータ
- 保管を終了するデータ
- 削除に承認が必要なデータ
すべてを細かく分類するのではなく、日常業務で迷わず保存できる範囲から決めます。
4.共有方法と利用範囲を決める
共有する相手と目的に応じて、利用できる範囲を整理します。
社内共有
社内の誰が閲覧、編集、削除できるのかを確認します。
社外共有
取引先や外部関係者へ共有する場合は、共有するデータ、相手、期間、解除する時期を確認します。
個別共有
特定の担当者だけが利用する必要がある場合は、理由と対象者を記録します。
リンクを知っている人が利用できる設定や、社外への公開範囲に関わる設定は、サービスの仕様と承認内容を確認したうえで変更します。
5.行ってよい操作と確認が必要な操作を分ける
日常的に利用者が行ってよい操作と、管理者や責任者の確認が必要な操作を分けます。
日常的に行う操作
- 決められた場所への保存
- 担当業務に必要な編集
- 社内で決められた方法による共有
- 指定されたフォルダの整理
確認が必要な操作
- 利用者や管理者の追加・削除
- アクセス権限の変更
- 社外への共有
- 大量のデータ移動や削除
- 保存場所の変更
- 契約やプランの変更
- 他のサービスとの連携
- セキュリティ設定の変更
確認が必要な操作では、対象、理由、影響範囲、承認者を整理してから実施します。
6.入社・異動・退社時の対応を決める
人の変更に合わせて、クラウドサービスの利用状況も見直します。
入社時には、必要なサービスと権限を確認します。
異動時には、新しい役割に必要な権限と、不要になった権限を分けます。
退社時には、アカウントの停止だけでなく、所有しているデータ、共有設定、管理者権限、引き継ぎ先を確認します。
アカウントの削除やデータの移動は、サービスの仕様と社内の承認を確認してから実施します。
7.変更前後の状態を確認する
設定や運用方法を変更する場合は、変更前の状態を記録します。
変更後は、次の内容を確認します。
- 必要な利用者がログインできるか
- 必要なデータへアクセスできるか
- 閲覧、編集、共有の範囲が正しいか
- 他の利用者や業務へ影響していないか
- 社外共有の範囲が意図した状態か
- 連携しているソフトやサービスが動作するか
- 元の状態へ戻す必要がないか
設定を変更しただけで完了とせず、実際の利用方法で確認します。
8.例外的な利用を管理する
通常のルールと異なる保存場所、共有方法、権限が必要な場合は、次の内容を記録します。
- 対象となる利用者
- 対象となるデータやサービス
- 例外が必要な理由
- 承認者
- 利用開始日
- 終了予定日または見直す時期
一時的な共有や権限をそのまま残さず、期限が来たときに継続、変更、解除を判断します。
9.運用ルールと変更履歴を記録する
運用ルールには、次の内容を残します。
- 利用する目的
- 管理者と担当者
- 保存場所
- 共有方法
- 利用者が行ってよい操作
- 確認や承認が必要な操作
- 入退社時の対応
- 問題が起きたときの連絡先
- 定期的に確認する内容
設定やルールを変更した場合は、変更日、変更理由、承認者、変更内容、確認結果も記録します。
整備後に目指す状態
- 利用しているクラウドサービスと目的を確認できる
- 管理者と設定担当者が分かる
- データの保存場所と共有方法が決まっている
- 社内共有と社外共有を分けて判断できる
- 日常操作と承認が必要な操作が分かれている
- 入社、異動、退社時の対応を進められる
- 一時的な共有や権限の期限を確認できる
- 設定変更の理由と結果が記録されている
- 担当者が変わっても、同じルールで運用を続けられる
導入しただけで終わらせない
クラウドサービスは、導入した時点ではなく、日々の業務で迷わず使い続けられる状態になって初めて役立ちます。
細かなルールを増やしすぎると、かえって利用しにくくなります。
一方、保存場所、共有方法、管理者、確認が必要な操作を決めなければ、利用者ごとの判断が増え、時間の経過とともに状態を把握しにくくなります。
まずは業務上必要なルールに絞り、変更や例外を記録しながら見直せる状態をつくることが重要です。
アーテック福岡では、クラウドサービスの導入や設定だけでなく、利用者、保存場所、共有方法、承認、変更履歴までを会社のIT環境整備として整えます。
実際に設定できる範囲や管理方法は、利用しているサービスの仕様、契約内容、管理者権限を確認したうえで確定します。