応急処置だけで、次の確認につながらない
パソコンやネットワーク、業務ソフトの不具合が、再起動や再接続によって一時的に解消することがあります。
業務を再開できることはもちろん重要ですが、何を行った結果、どの機能が使えるようになったのかを記録していなければ、次に同じ症状が起きたときに活かすことができません。
一時的に使える状態へ戻ったことと、原因や再発条件まで確認できたこととを分けて考え、残っている課題と次の確認内容を整理しておくことが大切です。
困りごとが起きる背景
IT障害が発生したときは、止まっている業務を早く再開することが優先されます。
そのため、再起動、再接続、別の機器への切り替えなどによって利用できるようになると、その時点で対応を終えてしまいがちです。
しかし、応急処置によって症状が見えなくなっただけで、原因や発生条件が確認できていない場合も少なくありません。
実施した操作、確認した結果、まだ分かっていないことが記録されていなければ、再発時にまた最初から同じ確認を繰り返すことになってしまいます。
また、一時的な対応を恒久的な解決として扱ってしまうと、本来見直すべき機器、設定、運用方法がそのまま放置されてしまいます。
よくあるつまずき
応急処置後には、次のような状態が起こります。
- 再起動したら使えるようになり、そのまま完了としている
- ケーブルの抜き差しや再接続など、行った操作が残っていない
- どの機能が使えるようになったのか確認されていない
- 一時的に戻ったことと、原因が確認できたことが混ざっている
- 同じ症状が再発する条件を確認していない
- 変更前と変更後の状態が記録されていない
- 未確認事項が担当者の記憶だけに残っている
- 次に確認する人や時期が決まっていない
- 応急処置のまま長期間使い続けている
- 再発時に、前回と同じ障害かどうか比較できない
応急処置そのものが問題というわけではありません。
業務を再開するための一時的な対応として位置づけ、その後に必要な確認へつなげていくことが重要です。
整備の進め方
まず、障害発生時に行った操作と、その前後の状態を確認します。
そのうえで、応急処置で確認できたこと、まだ確認できていないこと、次に確認することを分けて記録していきます。
実施した応急処置を記録する
何を、いつ、誰が行ったのかを記録します。
主な応急処置には、次のようなものがあります。
- パソコンや周辺機器の再起動
- ネットワーク機器の再起動
- ケーブルの再接続
- Wi-Fiへの再接続
- ソフトや画面の再起動
- アカウントへの再ログイン
- 別のパソコンや通信方法への切り替え
- 一時的な代替手段への変更
複数の操作を行った場合は、できる範囲で実施した順番も残しておきます。
どの操作の後に状態が変わったのかを確認できるようにするためです。
対応前後の状態を分ける
応急処置を行う前と後で、何が変わったのかを確認します。
「直った」とひとまとめにするのではなく、次のように具体的に記録します。
- 起動できるようになった
- ネットワークへ接続できるようになった
- 特定のソフトだけ利用できるようになった
- 一部の利用者だけ業務を再開できた
- エラーは表示されなくなったが、動作が不安定なままである
- 現在は利用できるが、再発するか確認できていない
業務を再開できたことと、問題が解消したこととは、分けて扱います。
確認できたことと未確認事項を分ける
実際に確認できた事実と、まだ確認できていない内容を整理します。
例えば、再起動後に利用できるようになった場合でも、再起動前に利用できなかった理由まで確認できたとは限りません。
次のように分けて記録します。
- 確認済み:再起動後は対象のソフトを起動できた
- 未確認:不具合が発生した原因
- 未確認:同じ操作で再発するか
- 次の確認:利用状況と再発の有無を一定期間確認する
推測を確定事項として扱わず、現在確認できている範囲をはっきりさせておきます。
応急処置の影響を確認する
応急処置によって、別の業務や設定へ影響が出ていないかを確認します。
例えば、別の機器や方法へ切り替えた場合は、データの保存場所、入力内容、共有状態などが通常と異なってしまうことがあります。
一時的な運用を行った場合は、次の内容を確認します。
- 通常とは異なる保存場所を使っていないか
- 同じ内容を重複して入力していないか
- 後から通常の環境へ戻す作業が必要か
- 一時的に変更した設定が残っていないか
- 利用者への案内が必要か
- 情報や作業記録が分散していないか
応急処置を解除するときに必要な作業も、未完了事項として残しておきます。
次に確認する内容を決める
応急処置後に必要な確認を整理します。
主な確認内容は、次のとおりです。
- 同じ症状が再発するか
- 特定の操作や時間帯に発生するか
- 複数の機器や利用者に影響しているか
- 直前の更新や設定変更との関係
- 機器やサービスの状態
- 記録や通知に異常が残っていないか
- 一時的な対応を元に戻す必要があるか
- 設定や運用方法の見直しが必要か
具体的な確認方法や対応可否は、実機や現在の構成を確認したうえで確定します。
確認する人と時期を決める
「後で確認する」とだけ記録してしまうと、そのまま放置されやすくなります。
誰が、何を、いつ確認するのかを決めておきます。
すぐに確認できない場合は、保留の理由と、確認を再開する条件を記録しておきます。
再発した場合に連絡する人や、記録する場所もあらかじめ決めておくと、次の対応へつなげやすくなります。
整備後に目指す状態
応急処置の内容と結果が記録されていれば、何を行って業務を再開したのかを確認できます。
確認できたことと未確認事項が分かれていれば、一時的に利用できる状態になっただけで、すべて解決したと判断してしまうことを避けられます。
同じ症状が再発した場合も、前回の操作、発生条件、対応後の状態を比較できます。
担当者が変わった場合や外部へ確認を依頼する場合も、どこまで対応し、何が残っているのかを引き継げます。
大切なのは、応急処置で業務を再開した後に、次の確認と見直しまでがきちんと決まっている状態です。
その場限りで終わらせないために
応急処置後は、再発の有無や利用状況を確認し、記録を更新していきます。
同じ症状が繰り返されている場合は、その都度同じ操作を行うだけでなく、発生条件、機器やサービスの状態、設定変更、運用方法そのものを見直します。
応急処置の手順が有効だった場合は、対象、実施条件、確認項目、停止条件を整理し、次回の一次確認に使える形で残しておきます。
ただし、データ、設定、アカウント、契約などへ影響する操作は、応急処置として自由に実施せず、影響と承認の要否を確認します。
アーテック福岡では、障害時の応急処置だけで終わらせず、実施内容、対応前後の状態、未確認事項、次に確認する内容までを記録し、次回の判断へつながる会社のIT環境として整えていきます。