どの業務に影響しているか分からない
パソコンやネットワーク、業務ソフトなどに障害が起きたとき、どの業務に影響しているのかが分からなければ、対応の順番を決めることができません。
一人だけに起きている問題なのか、部署や会社全体に広がっているのかによって、確認すべき内容や優先順位は変わってきます。
障害が起きた機器だけを見るのではなく、止まっている業務、影響を受けている利用者、利用できない機能、代替手段の有無までを整理することが大切です。
困りごとが起きる背景
ITの障害は、画面に表示されている症状と、実際の業務への影響が一致するとは限りません。
同じ「インターネットにつながらない」という症状でも、一台のパソコンだけに起きている場合と、事務所全体で起きている場合とでは、影響の大きさがまったく違います。
また、一部の機能が使えなくても別の方法で業務を続けられることがある一方で、たった一台の機器の不具合によって受注、会計、出荷などの業務が止まってしまうこともあります。
影響範囲を確認しないまま、連絡が早かった依頼や声の大きい依頼から対応してしまうと、本来もっと影響の大きい障害への確認が遅れてしまう可能性があります。
よくあるつまずき
障害発生時の影響確認では、次のようなことが起こります。
- どの業務が止まっているのか分からない
- 一人だけの問題か、複数の利用者に起きているのか分からない
- 一台だけの不具合か、会社全体の不具合か判断できない
- 利用できる機能と利用できない機能が整理されていない
- 別の機器や方法で業務を続けられるか確認していない
- 締切や顧客対応への影響が分からない
- 急ぐ必要があるものと、後で確認できるものが混ざっている
- 複数の担当者が同じ障害を別々に確認している
- 影響範囲が変わっても記録が更新されていない
- 対応後にどの業務が再開したのか確認されていない
障害の規模は、機器の台数だけでは判断できません。
影響を受けている業務の内容や期限、代替手段の有無を確認したうえで、対応の順番を決める必要があります。
整備の進め方
まず、障害が起きたときに確認する業務上の項目を決めておきます。
技術的な原因の確認とは分けて、現在どの業務が、どの範囲で、どの程度止まっているのかを整理していきます。
影響している業務を確認する
最初に、障害によってできなくなっている業務を確認します。
例えば、次のような業務への影響を整理します。
- 顧客からの問い合わせ対応
- 見積書や請求書の作成
- 受注、発注、出荷
- 会計や給与計算
- 予約や受付
- メールの送受信
- ファイルの閲覧や共有
- 印刷やデータ入力
- 社外とのオンライン会議
- 社内システムへのログイン
「パソコンが使えない」という機器の状態だけでなく、その結果として何の業務ができなくなっているのかを確認します。
影響を受けている人と場所を確認する
一人だけに起きているのか、同じ部署の複数人に起きているのか、会社全体に広がっているのかを確認します。
複数の事務所や作業場所がある場合は、どの場所で発生しているかもあわせて記録します。
影響を受けていない人や場所も確認しておくと、問題の範囲を分けやすくなります。
利用できないものを確認する
影響している機器、ソフト、サービス、機能を確認します。
主な確認対象は、次のとおりです。
- パソコンやタブレット
- プリンターや複合機
- 有線LANやWi-Fi
- インターネット接続
- メール
- 業務ソフト
- クラウドサービス
- 共有フォルダー
- アカウントや認証
- 外部との接続
サービス全体が利用できないのか、一部の機能だけが利用できないのかも分けて記録しておきます。
代替手段を確認する
対象の機器やサービスが使えない間、別の方法で業務を続けられるかを確認します。
例えば、別のパソコンを使用できるか、紙や電話で一時的に対応できるか、別の場所から利用できるかなどを整理します。
ただし、代替手段を使う場合も、情報の保存場所や入力内容、後から必要になる処理は確認しておきます。
一時的な方法によって情報が分散したり、処理が重複したりしないよう、実施した内容を記録しておきます。
業務上の期限を確認する
いつまでに業務を再開する必要があるのかを確認します。
顧客への回答期限、申請期限、請求や支払い、出荷、予約など、時間の制約がある業務は分けて記録しておきます。
急いでほしいという希望だけで判断するのではなく、業務への影響、期限、代替手段の有無をもとに確認の順番を整理します。
具体的な復旧時間や対応可否は、障害の状態や現在の構成を確認したうえで確定します。
対応の順番を決める
影響範囲を整理したうえで、どの確認や対応から進めるかを決めます。
主に次の内容を判断材料にします。
- 止まっている業務
- 影響を受けている人数
- 顧客や取引先への影響
- 業務上の期限
- 代替手段の有無
- 対応を待てる時間
- データや情報への影響
- ほかの業務へ広がる可能性
影響が大きいものを優先しつつ、確認に必要な情報、担当者、承認の要否もあわせて整理します。
影響範囲の変化を記録する
障害の発生直後と、確認や対応を進めた後とでは、影響範囲が変わっていくことがあります。
利用できるようになった業務、引き続き止まっている業務、新たに影響が見つかった業務を、その都度更新していきます。
一部の機能が戻っただけで全体を完了扱いにせず、業務ごとに再開状況を確認します。
整備後に目指す状態
影響確認の項目が整理されていれば、障害が起きたときに、どの業務がどの程度止まっているのかを把握しやすくなります。
影響を受けている利用者、場所、機器、サービスを分けておくことで、一部だけの問題か、全体に及ぶ問題かを見極められます。
業務上の期限や代替手段も記録されていれば、連絡を受けた順番だけでなく、実際の業務影響をもとに対応の順番を決められます。
また、影響範囲と対応状況を一か所で確認できれば、社内への状況説明や担当者間の引き継ぎにも活かせます。
目指すのは、障害の大きさを感覚だけで判断するのではなく、確認した情報をもとに次の対応を決められる状態です。
その場限りで終わらせないために
障害への対応が終わった後は、当初確認していた影響範囲と、実際に影響していた業務を振り返ります。
確認が遅れた業務や、後から影響が判明した範囲があれば、次回の確認項目へ加えていきます。
代替手段を利用した場合は、その間に作成したデータや記録が、通常の保存場所へきちんと反映されているかを確認します。
繰り返し止まりやすい業務がある場合は、機器やサービスの不具合だけでなく、代替手順、連絡方法、担当者、必要な記録も見直していきます。
アーテック福岡では、障害への個別対応だけでなく、影響している業務、利用者、場所、代替手段、対応の優先順位、再開状況までを会社のIT環境整備として整えていきます。