情報が揃わず、状況整理が進まない
パソコンやネットワーク、業務ソフトに不具合が起きても、発生時刻や症状、直前に行った変更などの情報が揃っていなければ、現在の状況を整理することができません。
複数の人から断片的な情報が寄せられると、確認できた事実と推測が混ざってしまい、同じ質問や確認を繰り返すことにもなりかねません。
障害発生時に集める情報を決めておき、発生から現在までの変化を時系列で記録できるようにしておくことが大切です。
困りごとが起きる背景
ITの障害が起きた直後は、業務を再開することが優先され、表示されたメッセージや発生時の操作が記録されないまま過ぎてしまうことがあります。
利用者、社内担当者、外部の保守会社が、それぞれ別の方法で情報を持っているということもあるでしょう。
電話で聞いた内容、メール、画面の写真、作業者のメモなどが分散していると、どの情報が新しく、どこまで確認済みなのかが分からなくなってしまいます。
また、確認や操作を進めている間にも状態は変化していきます。
発生時の状態と、その後に行った操作を分けて記録していないと、最初から起きていた症状なのか、確認途中の操作によって変わったのかを判断しにくくなります。
よくあるつまずき
障害時の情報整理では、次のようなことが起こります。
- 発生した日時が記録されていない
- 誰が最初に症状を確認したのか分からない
- 対象となる機器やサービスを特定できない
- 表示されたメッセージや画面が残っていない
- どの操作をしたときに発生したのか分からない
- 発生前に行った設定変更や更新が確認されていない
- 複数の人から異なる説明が寄せられている
- 確認できた事実と原因の推測が混ざっている
- 誰が何を確認したのか記録されていない
- 操作後に状態が変わっても、時刻や内容が残っていない
- 社内や外部の対応先へ同じ説明を何度も行っている
- 情報はあるものの、保存場所が分散している
情報をたくさん集めるだけでは、状況を整理できるとは限りません。
何が起きたのか、いつ変化したのか、何を確認したのかを、同じ形式で残していく必要があります。
整備の進め方
まず、障害発生時に集める情報と、記録する場所を決めておきます。
受付方法が電話、メール、口頭などに分かれていても、最終的には一つの記録に集約し、発生から現在までの状況を確認できるようにします。
対象を特定する
不具合が起きている機器、ソフト、クラウドサービス、アカウントなどを確認します。
パソコンや周辺機器の場合は、利用者、設置場所、機器名、管理番号など、対象を区別できる情報を記録しておきます。
業務ソフトやクラウドサービスの場合は、利用している機能や対象となるアカウントもあわせて確認します。
発生時の状態を記録する
最初に症状が確認された日時と、そのときに起きていたことを記録します。
主に次の内容を整理します。
- 発生した日時
- 最初に確認した人
- 対象となる機器やサービス
- 行っていた操作
- 表示されたメッセージ
- 利用できた機能と利用できなかった機能
- 同じ操作をした場合の再現状況
画面にメッセージが表示されている場合は、可能な範囲で写真やスクリーンショットを残しておきます。
表示内容を省略したり言い換えたりせず、後から確認できる状態で残しておきます。
直前の変更を確認する
不具合が発生する前に、機器や利用環境へ変更がなかったかを確認します。
例えば、次のような内容です。
- OSやソフトの更新
- パソコンや周辺機器の交換
- ケーブルや接続先の変更
- ネットワーク設定の変更
- アカウントや権限の変更
- パスワードの変更
- 新しいソフトやサービスの追加
- 契約やライセンスの変更
変更があった場合は、変更内容、実施日時、実施した人を記録します。
ただし、直前の変更が必ずしも原因とは限りません。確認できた変更の事実と、原因についての判断は分けて扱います。
時系列で整理する
発生から現在までの出来事を、時刻または順番に沿って記録していきます。
記録する内容は、次のようにそろえます。
- いつ
- 誰が
- 何を確認したか
- どの操作を行ったか
- どのような結果になったか
- 状態がどのように変わったか
例えば、再起動後に一時的に利用できるようになった場合も、すぐに復旧と断定せず、操作前後の状態として記録しておきます。
時系列を残しておくことで、同じ確認を繰り返したり、複数の操作を同時に行ってしまったりすることを防ぎやすくなります。
事実と推測を分ける
記録には、実際に確認できたことと、原因として考えられることを分けて残します。
「ネットワークが原因」「更新が原因」といった判断は、確認が済んでいない段階では確定事項として書かないようにします。
例えば、次のように分けます。
- 確認済み:複数のパソコンで同じサービスへ接続できない
- 未確認:社内ネットワークに問題があるか
- 次の確認:ほかのサービスへの接続状況を確認する
事実、未確認事項、次に確認することを分けておくことで、状況を引き継ぎやすくなります。
情報の保存場所をそろえる
メール、チャット、写真、作業メモなどに情報が分かれている場合は、案件ごとの記録へ関連付けておきます。
すべての資料を一つの文章に書き写す必要はありません。
どこを見れば元の情報を確認できるか分かるように、保存場所や関連資料を記録しておきます。
なお、パスワードなどの認証情報は、障害記録へそのまま書かず、社内で決めた管理方法に従って分けて保管します。
次に確認することを決める
現在までに分かったことを整理したら、次に確認する項目を決めます。
確認する人、対象、確認内容、結果を記録する場所をはっきりさせておきます。
設定変更、初期化、アカウント変更、データの削除など、現在の状態や業務へ影響する操作が必要な場合は、その場で進めず、影響と承認の要否を確認します。
具体的な対応方法や復旧可否は、実機や現在の構成を確認したうえで確定します。
整備後に目指す状態
必要な情報と記録方法が整理されていれば、障害が発生したときに、何を集めればよいかがすぐ分かるようになります。
発生時の状態、直前の変更、確認した内容が時系列で残っていれば、どこまで確認が進んでいるのかを把握できます。
担当者が変わった場合や外部へ確認を依頼する場合も、発生から現在までの経緯を同じ記録で共有できます。
また、確認済みの事実と未確認事項が分かれていれば、推測だけで操作を進めてしまうことなく、次に必要な確認を判断しやすくなります。
目指すのは、情報を持っている人をあちこち探し回るのではなく、記録を見れば現在の状態と次の確認事項が分かる状態です。
その場限りで終わらせないために
障害対応後は、状況整理に不足していた情報を振り返ります。
発生時刻が分からなかった、画面が記録されていなかった、変更履歴を確認できなかったなど、気づいた問題があれば次回の確認項目へ加えていきます。
同じ機器やサービスで障害が繰り返されている場合は、過去の発生状況や変更履歴を見比べてみます。
記録を積み重ねていくことで、似た症状との違いや、繰り返し発生している条件を確認する材料になります。
アーテック福岡では、障害への個別対応だけでなく、発生時に集める情報、時系列、確認済みの事実、未確認事項、次に行う確認までを会社のIT環境整備として整えていきます。